法人設立のメリット・デメリット
個人事業で始めるべきか、法人事業として始めるべきか、迷われている方も多いと思います。また、個人事業をされている方で、法人にすべきかどうか、考えあぐねている方も多いか、と思います。
法人にするメリットは数え切れません。しかし、デメリットもあります。要するに、置かれている立場や条件によって異なる、ということです。以下に、法人にするメリット、デメリットの代表的なものをあげてみました。自分に当てはめて考えてみてください。

一般的に会社と個人事業主では、会社のほうが社会的信用度が高い、といわれます。確かに、仕事を発注する側に立って考えればよくわかります。誰が事業主(責任者)で、どんな仕事をしているのかよくわからない個人よりも、誰でも簡単に取得できる登記簿謄本で役員の名前や事業目的を確認でき、必要があればいつでも見せてもらえる定款で会社運営の細かいルールまで確認できる会社の方が安心して仕事を任せられます。事業を大きくしていきたい、と考えるならば法人にした方がはるかにメリットがあります。
 
社会的信用が高まるのは取引先に対してだけではありません。金融機関の対応も個人事業主と法人では大きく異なってきます。会社組織の場合、融資も受けやすくなりますし、出資や投資という形で資金調達することも可能です。
万が一、事業が上手くいかなかった場合に負う責任の範囲も、個人事業主がすべてに責任を負わなければならない「無限責任」なのに対し、会社の場合は、自分の出資したお金を放棄すれば、それ以上の責任は問われない「有限責任」になっています。ただし、経営者個人が会社の負債に対し個人保証をしていた場合や、合名会社や合資会社の場合は責任を負うことがありますので注意しましょう。
 
会社の場合、社長も会社から事前に決めた給料をもらう形になります。例え、会社が赤字でも給料がもらえますので生活費の心配をすることなく、事業に打ち込むことができます。個人事業の場合、事業主の給料は収入から経費を除いたものとなります。したがって、収入より経費が多ければ給料はないということになります。
もちろん、会社の場合も資金繰りの都合がつかなければ同じことですが、考え方は大きく変わるのではないでしょうか。
 
会社には法人税、個人事業主には所得税がかかります。法人税は課税所得800万円以下が22%、800万円超が30%となります。所得税は、5%から40%までの累進課税です。最高税率で比較した場合、法人税30%と所得税40%ですから、会社組織のほうが有利となります。もちろん、会社の場合、経営者への給料には所得税がかかりますが、それでも収入から経費を引いた残りにかかる事業所得よりも、給与所得控除が受けられる給与所得のほうが有利だとされます。
法人税と所得税を比較するには、それに付随した税である住民税や事業税なども検討しなければなりませんし、各種控除額も異なります。一定の同族会社の役員報酬に対する給与所得控除額は法人税で損金不参入になるなど、税制の改正も頻繁に行われています。よって、会社組織の方が節税になる、と必ずしも言えないケースが多々あります。
ここで、はっきりいえることは売上が一定額を超えると会社組織のほうが節税になる、ということです。
必要経費として認められる範囲は会社の方が広いです。例えば、自宅を事業所にすると、一定の条件の下で住宅費や光熱費も経費落とすことができますし、自動車を個人が事業用として購入した場合、特段の事由がない限り全額経費として認められませんが、法人では全額経費として認められます。
役員の給料や退職金が認められるのも会社の場合だけです。
 
個人事業主であればその年の前々年、法人の場合はその事業年度の前々事業年度の課税売上高が1000万円超であれば消費税の課税事業者となります。この点では個人事業と法人で違いはないわけですが、個人事業主が3年目に「法人なり」すると、その期と翌期は免税業者となります。例え、事業開始後3年目に課税売上高が1億円になろうと、その期と翌期は消費税を納める必要がありません。
なお、上記の特例を受けられる法人は資本金が1000万円未満の会社に限られます。
 
個人事業の場合、経営者が死亡すれば個人財産であれ事業用財産であれ、すべて相続税の対象となります。会社組織の場合は、たとえ経営者が死亡しても解散などの事由がない限り会社は存続するので、会社の財産であれば相続税はかかりません。ただし、経営者が所有していた株式については課税されます。
 
会社法の施行で資本金は1円からとなりましたが、会社を作るには色々とお金がかかります。株式会社の場合、次のようになります。
@ 定款認証手数料 5万円
A 定款収入印紙代 4万円
B 登録免許税 15万円
C 会社印鑑代 約2万円
D 定款・登記簿謄本代 約5千円
その点、個人事業を始める際にはほとんどお金がかかりません。
 
いくら所得が低くても住民税の均等割り部分は納税しなければならないように法人住民税にも均等割り部分があります。資本金1000万円以下、従業員50人未満で年間約7万円程度かかってきます。この金額は例え会社の利益が赤字であっても会社が存続する限り、負担しなければならないお金です。
 
業種を変更する際、会社の場合は定款の「目的」内に制限されるのに対し、個人事業の場合には自由にできることとされています。その他、役員の変更だけでなく任期ごとに重任する場合も変更登記の必要があります。
 

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